2026.10.20
渋沢MIX会員インタビュー|クラシックバレエ教室Ballet Dancer 代表 天沼沙織さん
埼玉では、業種の違う事業者どうしが、気軽に知りあえる場がまだ多くありません。「渋沢MIX会員インタビュー」は、渋沢MIXの会員おひとりに、公開の場でじっくりお話をうかがう連続企画です。
第3回のゲストは、クラシックバレエ教室「Ballet Dancer」代表の天沼沙織さんです。3歳から大人まで通えるバレエ教室を、2008年から続けていらっしゃいます。
いまは、大人向けのパーソナルトレーニング「ヴァリアシオン」に力を入れています。バレエの動きを取り入れた「バレエフィットネス」で、健康寿命を伸ばす活動に取り組まれています。
当日は、「5つの質問」を軸に、お話をうかがいました。
プロフィール

天沼 沙織さん
クラシックバレエ教室「Ballet Dancer」代表
大阪府出身で、埼玉県に移住して26年になります。大学卒業後は、小さな広告代理店で営業を、レコード会社で宣伝業務を担当されました。
社会人生活を3年足らずで終え、専業主婦として過ごすなか、2008年にクラシックバレエ教室「Ballet Dancer」をオープンされました。
それから18年。現在は、子ども中心の教室から、大人向けのコンテンツを主軸に置くため、活動されています。
1. 誰に向けて、どのようなサービスを提供されていますか
「Ballet Dancer」は、3歳から大人まで通える、趣味のクラシックバレエ教室です。ただ、趣味といっても「ガチ趣味」という言葉を掲げています。
「レッスンはこの程度でよい」という考えでは、指導していません。レッスン中は、講師も生徒も真剣です。
趣味として、週1回から楽しく続けていただいてもかまいません。コンクールを目指したい生徒さんには、特別レッスンを設けて指導しています。
どんな目標に向かうかは、生徒さんの希望にあわせて変えています。
もうひとつの「ヴァリアシオン」は、子育てを終えた中高年の女性が、おもな対象です。男性が受けられないわけでは、ありません。
パーソナルレッスンなので、若い講師のことを考えて、いまは生徒さんのお知りあいなど、つながりのある方に限って受け入れています。
「ヴァリアシオン」の特徴は、踊るためではなく、身体を整えるためのトレーニングであることです。身体のゆがみや不調をマイナスとするなら、それをゼロに戻していきます。
じつは、バレエのトレーニングは、8割が筋トレといっても過言ではありません。そのため、ストレッチよりも、筋トレを多めにおこなっています。
しっかり筋トレをすることで、姿勢を正しい位置に戻し、不調のない身体を目指します。
2. 娘さんのバレエから始まり、起業されるまでの経緯を教えてください

もともとは、自分の娘にクラシックバレエを習わせたかったのがきっかけです。でも、大阪出身でバレエ未経験の私には、埼玉でどう教室を探せばよいか、わかりませんでした。
そんなとき、親友が劇団四季を退団しました。彼女は大学4年までクラシックバレエを続け、卒業後に劇団四季へ入団していた人です。
時間が空いた彼女に、自宅まで来てもらい、娘にバレエを教えてもらうようになりました。これが、すべてのスタートです。
その後、娘の幼稚園のママ友たちから、「どこでバレエを習っているの?」と聞かれるようになりました。「皆もやりたいの?」と聞くと、「やりたい!」という声がたくさん返ってきたんです。
そこで、体育館を借りて始めたのが、いまの「Ballet Dancer」の原点です。
最初は、サークル活動のような感じでした。料金も手ごろで、月2回ほどの開催です。
ところが、18人から始めた生徒数が、あっという間に40人、60人と増えていきました。クラスもレッスン回数も増え、体育館の予約が思うように取れなくなったんです。
そこで、テナントを探して移ったのが、いまの北与野スタジオです。このタイミングで、起業しました。
「子育ては、自分でやりたい」。そんな思いがあったことも、起業を後押ししました。
子どもの成長を、近くで見守れる時間は意外と短いです。子どもにはいろいろなことをさせたかったですし、その送迎もあります。
勤めに出て保育園に預け、そのあとお稽古へ、というスケジュールは無理だと判断しました。
自分でバレエ教室をやれば、お稽古の送迎がひとつ減り、いつでもどこへでも子どもを連れて行けると考えたんです。
3. ご相談に来られる方には、どのようなお悩みが多いでしょうか

「Ballet Dancer」は、悩みというより、単純にバレエを習いたい方がほとんどです。
一方、「ヴァリアシオン」には、運動不足を感じている方が多くいらっしゃいます。
この先も自分の足でどこへでも行き、やりたいことを思いどおりにやりたい方。ほかのスポーツに取り組みながら、身体を整えてパフォーマンスを上げたい方など、さまざまです。
なかでも多いのは、何もしなかったことで、以前は何ともなかった動作ができなくなった方です。そこに心を痛めて、「これではいけない!」と、自分でスイッチを入れられます。
健康寿命を、少しでも伸ばしたい大人は多いです。じつは、私もそのひとりです。
運動を始めたきっかけは、もちろんバレエ教室です。さらにしっかり取り組もうと考えたのは、海外旅行が好きだからです。
休みがしっかり取れる年齢になったとたん、体力のせいで、海外旅行が億劫になる。それだけは、避けたいと思いました。
4. 教室に通われた方で、変化を感じた事例はありますか
「Ballet Dancer」は、起業してまもなく19年です。発足当初から数えると、22年ほど続けています。
最初のころに通っていた生徒さんのなかで、いちばん年上なのは、我が子と同じ学年の子たちです。その子たちも、いまでは27歳になりました。
卒業した子どもたちとは、いまでも連絡を取りあっています。発表会のたびに、どこからか情報を聞きつけて、「手伝うことありますか?」と連絡をくれるんです。
社会人になった子が、全員来てくれるわけではありません。それでも、手伝える子は、自分から進んで来てくれます。
お姉さんが年少の子の面倒を見るという姿勢が、当たり前のように身についています。
指示を出さなくても、「発表会ではここが大変」「ここを手伝えば大人のスタッフが楽になる」と、経験からわかっているんです。
きっと社会でも、誰かの役に立てる大人になっている。そう確信できる場面です。
バレエには、発表会という機会があります。幼児さんから大学生までが、一緒にひとつの作品をつくれるんです。
その過程で、自然と身についていく姿が、本当にほほえましいです。
私は、この「戻れる場所」をなくしてはいけないと、日々奮闘しています。
子どもたちにとって、ここは家族でも学校でもない「第3の場所」になっています。それを実感しているので、どうすればこの場所を守れるか、つねに考えています。
そのなかで生まれたのが、大人向けのコンテンツ「ヴァリアシオン」です。
私自身は、バレエを習っていませんでした。だからこそ、昔ながらのレッスンスタイルを貫かなくてよい、と考えられたのだと思います。
もっと柔軟なスタイルでバレエを楽しみ、日常に取り入れる。そんな挑戦ができるのも、自分で起業したからこそです。
経験がないことは、不利だと思われがちです。でも、それが挑戦の材料になると考えれば、何をするのも楽しめます。
なんといっても、起業は自分のやりたいことをすることですから。
5. 今後の活動で目指していることはありますか

じつは、運営期間が長いわりに、利益率は低いです。端的にいうと、「儲かっていません」。
子育てが好きな私は、保護者の方から高い月謝をいただいてまで、続けたいとは思っていません。ただ、事業を続けるには、やはり利益が必要です。
この点で、「起業家として失格だ」と、つねに感じていました。
そこで、これからは「ヴァリアシオン」で収益を上げ、事業を軌道に乗せたいと考えています。あわせて、「バレエフィットネス」を通じて、健康寿命を伸ばす活動にも取り組みたいです。
「バレエフィットネス」では、日常生活であまり使わない、内ももの筋肉や広背筋、足裏の固有筋をたくさん使います。
これらを正しく使うと、腹筋も鍛えながら、姿勢を整えられます。
北与野スタジオのトレーニングは、パーソナルトレーニングです。「バレエフィットネス」は踊らないので、広いスペースがなくても、こぢんまりした場所でおこなえます。
だからこそ、北与野スタジオだけでなく、ほかの地域にも広げていきたいと考えています。
また、健康経営に取り組む企業さまにも、このトレーニングを届けたいです。社員の方が健康でいられると、会社の生産性も上がる。そんな形をつくっていきたいと思っています。
「バレエ」と名前がつくだけで、敬遠されるかもしれません。そのイメージを払拭できるよう、理学療法士さんの意見も取り入れながら、プログラムを組んでいく予定です。
ゆくゆくは、全国展開も目指したいと考えています。
以前、日本の100歳以上の人口が、10万人を超えたというニュースを目にしました。その9割近くが女性で、最高齢は114歳だそうです。
本当に、「人生100年時代」を迎えているのだと感じました。
それほど長く生きるなら、健康寿命を伸ばすことは、他人事ではありません。
まずは私自身が、「バレエフィットネス」で、日ごろから運動する習慣を身につけています。楽しい人生の後半戦を迎える準備を、私もはじめました。
その姿に、ひとりでも多くの方が共感してくださったら、うれしいです。

天沼沙織さんのリンク
Learns Happily ホームページ
https://www.learns-happily.com/
ヴァリアシオン ホームページ
https://variation.site/